コンピテンシーを導入支援する開発パートナー選びのポイント

「コンピテンシー」という用語を聞いたことがありますでしょうか?「コンピテンシー(Competency)」を日本語に訳すと「能力」「技能」「力量」「適性」などの意味があります。

近年、「コンピテンシー」は「能力」「技能」「力量」「適性」ではなく、ハイパフォーマーに共通した行動特性のことをいいます。

ハイパフォーマーは、企業・団体の組織で中心的に業務を担い高い業績を上げて、企業・団体に利益をもたらす人材(人財)を示します。

企業・団体が雇用している従業員個々の成長を促して、生産性を向上させる手法として「コンピテンシー」の概念を採用するケースが広がりをみせています。

これから「コンピテンシー」という聞き慣れない用語の紹介、使途、メリット・デメリットを紹介していきます。

 

 

1.コンピテンシーとは何か?

「コンピテンシー(Competency)」は、ハイパフォーマー(生産性の高い従業員(人材))に共通する行動特性のことを示します。

高い業績・成果につながる行動特性ともいいます。

ハイパフォーマーは「通常どのようなことを意識して業務に接しているのか?」「どういう理由で、どのような行動をしているのか?」の履歴を基にして、対象者の思考・行動実績を分析して「コンピテンシー」を明らかにしていきます。

「コンピテンシー」は、具体的な行動自体ではなく、行動につながる「性格」「動機」「価値観」の抽象的な要素を重んじます。

そのため、可視化しやすい「知識」「行動」「技能」の具体的な要素と違い「コンピテンシー」は可視化に不向きな特性があります。

 

 

2.コンピテンシーが誕生した背景

「コンピテンシー」が誕生した背景を紹介します。

「コンピテンシー」は、1950年代にアメリカ合衆国で心理学用語として誕生しました。

ハーバード大学のデイビッド・C・マクレランド心理学教授が1970年代前半の調査結果により人事用語として広がりをみせました。

教授はアメリカ合衆国国務省の依頼で、外交官の「採用時のテスト成績」と「配属後の実績」の相関関係の調査を実施しました。

その結果、「学歴や知能は、業績の高さと相関はない」「高い業績・成果を上げる人材には、何点かの共通の行動特性がある」ことが判明し、調査結果報告をしました。

結果的に「コンピテンシー」は、「高い業績・成果を上げる従業員に共通する行動特性」を意味とする概念として広まりました。

日本国内は、1990年代前半にバブル景気が崩壊し、日本型商慣習であった「年功序列」から、欧米型の「成果主義」へ人事評価制度が変遷しています。

「年功序列」の人事評価制度は事業年度ごとに定期昇給するだけで済みました。

しかし「成果主義」による評価制度を導入しているケースが希少でした。

そのため、「成果主義」の評価基準の一つとして「コンピテンシー」が導入され始めました。

最近は、少子高齢化による労働人口の減少が社会的な課題になっています。

日本国政府は内閣府特命大臣として「少子化担当大臣」を起用して対応しています。

また、企業・団体はこの課題を解決するため、従業員全体の行動のクオリティを上げて、生産性向上を図る必要があります。

その手法として「コンピテンシー」導入が注視されています。

 

 

3.コンピテンシーの使い方

「コンピテンシー」の使い方を紹介します。

第1に人事評価制度に活用できます。

「コンピテンシー」は、人事評価をする要件として活用するケースが多いようです。

人事評価制度には、①コンピテンシーに基づく評価方式「コンピテンシー評価」、②個人目標の達成度で評価を行う「目標管理制度(MBO):目標設定とその達成度で評価する仕組みです。

」、③上司・部下・同僚などの複数の職位から該当者を多面的に評価する「360度評価」等があります。

そのなかで、評価の平準化を図るため「コンピテンシー評価」が多く導入されています。

「コンピテンシー評価」は「目標としていた思考ができるようになったか」「どの程度まで、ハイパフォーマーの行動特性に近づけたのか」といった観点で、評価をします。

第2に採用・面接などに活用できます。

企業・団体は優秀な人材(人財)を採用するために「採用基準を明確にする」「面接で応募者の本質を確認する」ことが重要です。

「コンピテンシー」は、採用基準を設ける指標を作成する際に、社内の従業員向けの「コンピテンシー」を基に採用基準を設定していきます。

採用後に活躍できると見込まれる人材を選ぶことができます。

面接時の問答例として、応募者に「最近1年で、最も達成感があるエピソードは何か?」「どのような達成感があったか?」のように問いかけます。

加えて、「どうして、達成できたのか?」「達成するために、どうような工夫をしたのか?」とブレイクダウンして質問していきます。

結果的に応募者の「コンピテンシー」を得ることができます。

採用判断基準に活用される手法です。

第3に能力開発・キャリアアップに活用できます。

「コンピテンシー」は、能力開発・キャリアアップに活用することもできます。

「どのような思考で、どのような行動をして高い成果・業績をあげることにつながるのか?」をテーマにした研修を行います。

その結果「どのような思考を身に付けたいか」「どのような行動ができるようになりたいか」等の目標設定することができます。

上長からの指示ではなく、従業員自ら目標を設定することで、積極性・自発性をもった従業員を育成することにつながります。

 

 

4.コンピテンシーのメリット

「コンピテンシー」のメリットを紹介します。

第1にハイパフォーマーの行動高い業績・成果を基準として「コンピテンシー」要素を策定します。

その要素を従業員に普及させて「個々の従業員が、コンピテンシーを意識した行動がとれるようになる」といった効果が期待できます。

その結果、生産性の向上につながっていくと期待されています。

第2に「コンピテンシー」を人事評価に活用することで、評価の平準化を図ることができます。

個々の従業員が納得できる人事評価を実践することができます。

第3に採用・面接に「コンピテンシー」を活用できます。

企業・団体の採用目標に合致した人材(人財)を見極めることができます。

加えて、採用後の活躍が期待できます。

 

 

5.コンピテンシーのデメリット

「コンピテンシー」のデメリットを紹介します。

第1に「コンピテンシー」導入するときは、事業所・部門・職種・役職別に「コンピテンシー」要素を策定する必要があります。

全社でひとつの「コンピテンシー」要素を策定することではありません。

製品企画部門のエンジニア人材と営業店の販売スタッフでは「コンピテンシー」要素が異なります。

そのため全社的に「コンピテンシー」要素を策定することに手間と時間を要します。

第2に「コンピテンシー」要素を不変のまま運用すると、時代の変化に対応できない課題が生じます。

また、最新IT機器の導入した「コンピテンシー」要素を取り入れることも必要になります。

「コンピテンシー」導入は、「どのように活用するか?」「どのような方法であれば、無理なく普及できるか?」を検討することが重要です。

 

 

6.コンピテンシーを導入支援する開発パートナー選びのポイント

「コンピテンシー」導入は、企業・団体が導入している基幹システムとの連携は必要ありません。

しかし、「コンピテンシー」のアプリケーションで利活用した人事情報は、基幹システムや人事・給与サブシステムのソースデータとして活用できるケースがあります。

「コンピテンシー」機能の導入は、企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーに相談してみることをお勧めします。

大手電機メーカー、ITベンダー企業、ITベンチャー企業は基幹システムをする部門以外に「コンピテンシー」をサポートする担当エンジニアを用意しているはずです。

現行の基幹システムを導入した開発パートナーの営業担当やプロジェクト・マネージャーに相談してみましょう。

 

 

まとめ

「コンピテンシー」はハイパフォーマーに共通する行動特性を把握することがスタートラインです。

企業・団体はハイパフォーマーと定義する人材(人財)を決めないと「コンピテンシー」の導入ができません。

しかし、これらの課題を解消することで、「個々の従業員の業績アップ」「生産性の向上」につながる効果が期待できます。

 

 

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