APSを導入支援する開発パートナー選びのポイント

「APS」というIT用語を聞いたことがありますでしょうか?APSは、製造業で活用する情報システムの一種です。

受注・購買・生産・検査・出荷に至るまでの製造スケジュール管理と製造ラインの稼働率を勘案しつつ最適な生産計画を策定して実行する仕組みのことです。

「APS」の導入で、受注からの出荷までのリードタイム短縮・在庫削減・生産性向上の効果があります。

「APS」には同音異義語が数多くあります。

「APS」をネットサーフィンすると上位に画面表示される項目が、抗リン脂質抗体という自己抗体が原因となって、動脈や静脈の血が固まる血栓症や習慣性流産などの妊娠合併症を発症する疾患の「抗リン脂質抗体症候群」が検索されます。

抗リン脂質抗体症候群の英語表記はanti-phospholipid antibody syndromeといい、「APS」は頭文字3文字から構成される略称です。

次の画面表示される項目は、カメラをより小型化し、カメラへの装着と取り出しを容易にした新フィルム様式のカートリッジごとフィルムの装着・取り出しができる製品が表示されます。

英語表記はadvanced photo systemといい、「APS」頭文字3文字から構成される略称です。

上記製品は2012年に生産・販売を終了しました。

製造業で活用する情報システムである「APS」の紹介に戻ります。

「APS」は製造スケジュール管理と製造ラインの稼働率を管理します。

製造スケジュール管理では、製造工程のプランニングとスケジュールを立案して、各組織の意思決定の要件を摺り合わせて製造・ロジスティクスの計画を立てることです。

製造ラインの稼働率は、前記の製造スケジュールで立案した内容に基づき、製造ラインの稼働率を短期・中期・長期的に算定することです。

これから「APS」とは何か?期待する効果を紹介していきます。

 

 

1.APSとは何か?

「APS」は英語表記でAdvanced Planning and Schedulingといい、頭文字3文字で構成される略称です。

日本語では「先進的な生産計画とスケジューリング」となります。

日本でバブル景気が崩壊したころ、アメリカ合衆国の国内で活用を始めた「生産計画とスケジューリング」の考え方です。

今から約30年前の1990年台後半に誕生しました。

1990年台後半は、MRP(資材所要量計画です。

工場で使われる生産管理手法の一つで、 資材管理で生産を計画する手法のことです。)を中心にした生産計画手法に、制約の理論(TOC:利益を上げ続けることを目指して不要な在庫や経費を抑える考え方です。)を応用した手法が多く提案・開発されて利用していました。

その後、「MRP」+「TOC」を「APS」と称されるようになりました。

難しい紹介になりましたが一言で表記すると、「APS」は製造業で用いられる情報システムの一種で、生産計画や製造スケジュールの管理を行う仕組みです。

「APS」の主な管理方法は4通りあります。

  1. 生産スケジューリングを先に行う方法
  2. MRPとスケジューラを連携する方法
  3. MRPとスケジューラを融合する方法
  4. 企業・団体のもつ独自のアルゴリズムで生産計画をスケジュールする方法
    です。

企業・団体が最適な方法を検討して導入します。

 

 

2.APSが生まれた背景

「APS」が生まれた背景を紹介します。

製造業で用いられる情報システムの一種で、生産計画や製造スケジュールの管理を行う仕組みには、「山積み・山崩し」方式が採用されていました。

「山積み」とは、仕事量を期間別に順番に積み重ねていくことです。

つまり、受注があると生産計画に製造台数や生産個数が加算される手法です。

「山崩し」とは、生産能力に準拠した生産計画や日別生産計画を立てることです。

つまり、生産計画や日別生産計画に受注数量が加算されて生産能力を超えるときは、生産能力にゆとりがある期間に製造・生産日を移動(繰り上げまたは先送り)することです。

従来の「MRP」(Material Requirement Planning)は、受注台数・受注数量を基にして資材所要量を計算して、調達計画を作成します。

その後、設備や生産ラインへ作業を割り充てるスケジューリングを行います。

「MRP」は、今まで蓄積した経験値である固定的なリードタイムを活用して、生産能力を無視して、資材の調達計画を計算します。

「MRP」の計画をそのまま生産ラインの作業割り充てると、生産能力(Capacity)を超えることもあったので、「山積み」方式と呼ばれていました。

1日に生産能力が100個である生産ラインに1,000個の生産計画を割り充てたとき、生産ラインは対応できません。

「山積み」方式ですと生産能力を超えてしまうので、生産能力を超えた部分を切り崩して、生産ラインが安定稼働するよう、作業を割り振ることを「山崩し」といいます。

「山崩し」方式を採用すると生産能力の余地を残しておく必要がありました。

「山積み」方式のリードタイムをプラス調整した設定値にする必要がありました。

そのために仕掛品在庫は増加して、リードタイムは長くなる傾向がありました。

アメリカ合衆国では、在庫部材を保管する土地が豊富にありますが、資源と土地が少ない日本国内はアメリカ合衆国で採用している生産管理システムの導入ができないことと判断されました。

さらに、バブル崩壊で大量生産大量消費の時代から、短納期化・多品種少量生産化に遷移すると、「山積み・山崩し」方式の弱点が目立つようになりました。

そこで、「TOC」で利益を上げ続けることを目指して不要な在庫や経費を抑える考え方を導入して、ネックとなる生産工程(制約工程)を中心とした作業計画を立案して、前後の作業計画や資材調達計画は、ネックとなる生産工程に合わせて決めました。

シンプルですが、理にかなった強力な手法になりました。

その後、上記の生産手法を基にして、

  1. 「CRP(製造現場における作業区画や工程単位で計画を立てることです。)」を優先する方法
  2. 「MRP」とスケジューラを連携する方法
  3. 「MRP」「CRP」を融合する方法
  4. 企業・団体のもつ独自のアルゴリズムで生産計画をスケジュールする方法
    が取り入れられました。

以上の手法を「APS」と称することに至りました。

 

 

3.APS導入により期待できる効果

「APS」導入により期待できる効果を紹介します。

「APS」の導入効果は、生産工程間の滞留時間(待ち時間)を軽減させることができます。

一般的の生産リードタイムは、各工程の作業時間と滞留時間とされています。

日本国内の製造業の平均値では、全体のリードタイムに対する滞留時間の割合は約80%だと言われています。

つまり、滞留時間を軽減することでリードタイムを1/5にする効果があるといわれています。

実質的には滞留時間を0%にすることはできないとしても、滞留時間を半減することで、生産効率をアップできます。

各工程間の滞留時間を短縮するためには、①生産ロットサイズを小さくすること、②分割した工程をつなげること、③工程の流れを作ることです。

上記の施しをすることで、原材料在庫の削減・在庫回転日数の低減につながります。

生産量が変動しないことで、原材料在庫が削減されますので、「ROA(総資産利益率)」が高くなります。

製造業の「ROA」は、日本銀行の金利指標のような数値で企業・団体の成績表になります。

「ROA」値が良いと多くの投資家から支持されます。

また、リードタイム短縮により、短納期の受注に対応することができます。

連動して納期遵守率が向上します。

発注したお客先様の信用を得ることにつながります。

 

 

4,APSを有効に活用する方法

「APS」を有効に活用する方法を紹介します。

第1にリードタイムの無駄を見つけ出して改善することです。

リードタイムには情報のリードタイムと、生産のリードタイムがあります。

情報のリードタイムは、お客先様から受注をいただき、その受注情報を生産計画に反映するまでの時間を示します。

生産計画に反映できないと大きなロスを生じます。

情報リードタイムを削減するためには、①情報伝達を早くすること、②情報共有する仕組みを再考すること、③伝達情報に応じて適切なリスケを迅速化することです。

第2に生産のリードタイムを検討することです。

生産のリードタイムは、原材料部品が入荷されてから製品を仕上げて、お客先様に納品するまでの時間です。

大部分は作業工程と滞留時間で構成されます。

生産のリードタイムを削減するためには、①在庫を減らす(歩留まり削減する在庫設定)こと、②生産ロットを小さくすることです。

上記のリードタイムの無駄を見つけ出して改善することで、「APS」を有効に活用することができます。

リードタイムの無駄を見つけ出すことは、工程の進捗状況や現在庫の情報を可視化することが必須になります。

 

 

5.APSを導入支援する開発パートナー選びのポイント

「APS」は、企業・団体が導入している基幹システムとの連携が必要になります。

特に生産管理システムを導入しているケースであればシステム間連携は不可欠です。

「APS」の導入は、企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーと事前相談をすることです。

生産管理システムを導入した開発パートナーは、「APS」を含めたソリューションを組み込んでいるアプリケーションを用意していることもあります。

「APS」導入は、企業・団体の業務を変革・改新する必要あります。

各事業部・部門のキーマンを集めた社内プロジェクトを立ち上げて、大手電機メーカーSI技術者、ITベンダー企業のSI技術者をサポート要員で参画させましょう。

「APS」導入による業務改善は全社的な改革になります。

「APS」を導入するときは、基幹システムを導入した開発パートナー企業の営業担当やプロジェクト・マネージャーに相談してみましょう。

 

 

まとめ

「APS」の導入効果はリードタイムの無駄を見つけ出して改善することから始まります。

リードタイムの無駄を見つけ出すためには、工程の進捗状況・現在庫の情報を可視化することが重要です。

 

 

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