
人的資本経営を取り入れる開発パートナー選びのポイント
「人的資本経営」というビジネス用語を聞いたことがありますでしょうか?「人的資本経営」は、人材を「資本」として、人材の価値を最大限に引き出すことです。
中長期的な企業価値向上につなげる経営方法をいいます。
人材を「人財」と表記して、貴重な資源・資本と捉えた表現をすることがあります。
近年は、2019年末に世界中にパンデミックを引き起こした新型コロナウイルス感染症対策で、在宅勤務・テレワーク勤務・リモートワーク勤務が推進されています。
企業・団体は、働く場所・働く時間帯に捉われない働き方ができる環境整備をしています。
本来の在宅勤務・テレワーク勤務・リモートワーク勤務の推進は、2019年4月に施行された「働き方改革法」で推進されています。
企業・団体は、従業員の働き方の多様化に対応することなのです。
偶然にも、改正法が施行された2019年に新型コロナウイルス感染症が拡大したことで、在宅勤務・テレワーク勤務・リモートワーク勤務の導入・環境整備が急務に至っただけなのです。
ビジネスモデルが激変するなかとIT技術が急速な進化を遂げるため、予測困難な時代環境のなかで企業・団体及び個人への課題に対する抜本的な対応が求められていたにもかかわらず、本気に着手せずに先送りされていました。
しかし、新型コロナウイルス感染症拡大という想定外の事象で、解消する課題への対応が急加速されたのです。
100年に1度あるか無いかの難局に直面しているときに、課題を直視して変革を起こす好機とされています。
その変革の時代において持続的な成長をするために「人的資本」を基本にした経営が求められるようになりました。
多様な価値観をもつ従業員の「働きがい」「従業員満足度」を高め、企業・団体が成長するにはどのような変革が必要なのか紹介していきます。
目次
1.人的資本経営とは何か?(一部HPの内容を参照しています)
経済産業省の定義では「『人的資本経営』とは、人材を『資本』として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。」と同省のHPに掲載されています。
経済産業省の定義は抽象的な表現になっていますが、「人的資本」の定義は、国際的な公的機関・情報関連の関連団体・大学の経営学や経済学の研究者が多用な概念を提唱する段階で、具体的な考え方が見受けられません。
「人的資本」の考え方は、1776年に大英帝国の「経済学の父」と呼ばれるアダム・スミスさんの主著である「国富論」で、「特別な技能と熟練を要する職業のために時間と労力をかけて教育された人(国富論より)」を表現したことが語源とされています。
アメリカ合衆国の農業経済学のセオドア・シュルツさん(1979年にノーベル経済学賞を受賞)や同国の経済学のゲイリー・ベッカーさんたちが「人的資本」の概念を再定義しました。
セオドア・シュルツさんは、各国の経済発展の格差・賃金格差を関連付けして、教育・技能などの「人的資本」投資の重要性を指摘しました。
先天的ではなく後天的に、適切な投資により人間の特性を増やすことができ、それを「人的資本」と再定義しました。
当初は、個人が後天的に習得した教育・技能等の専門的知識による経済的収益に注視した概念でした。
その後天性に習得した知識から、生まれもった能力を資本とするように変遷しました。
例えば、国際経済協力開発機構(OECD)は「人的資本」の定義を拡大しました。
2001年のレポートで、人的資本を「個人的、社会的、経済的厚生の創出に寄与する知識、技能、能力及び属性で、個々人に備わったもの(OECDのHPより)」と再定義しました。
「人的資本」が生み出す利益は経済的収益に限らずに、従業員の「働きがい」「従業員満足度」を高めるように変遷しています。
2.人的資本経営を取り入れる背景
少子高齢化と慢性的な人材(人財)不足・人生100年時代・多様化された働き方・終身雇用制度の崩壊・年功序列制の給与体系から成果実績ベースの給与体系への移行・急速に進化したIT技術等々、企業・団体を取り巻く環境と従業員の大きな変化に直面しています。
そのなかで、企業・団体が経営環境の変化に順応しながら、持続的に企業・団体の価値を高めていくためには、企業・団体が従業員の「働きがい」「従業員満足度」を高めるための仕組みを取り入れて改善することが重要になっています。
従業員の「働きがい」「従業員満足度」を高めることで、時代に合った経営戦略と人材戦略をたてることができます。
また、機関投資家向けの「人的資本」の情報の公開も重要になっています。
上記をまとめて、経営環境の激変に順応した人材(人財)戦略の構築を促進して、中長期的な企業価値の向上と事業継続を目標に掲げています。
3.求められる人的資本の情報開示
今後、東証上場企業は、「人的資本」の情報開示が求められるようになります。
「人的資本」への関心が高まることと同時に情報公開・情報開示が求められるようになりました。
日本国内では、東京証券取引所の上場部企画グループが、2021年6月に「改訂版コーポレートガバナンス・コード」を改訂して、「人的資本の情報開示に関する項目」が新たに追加されました。
旧東証一部上場企業は2022年4月にプライム市場・スタンダード市場に移行しましたが、「改訂版コーポレートガバナンス・コード」はそのまま引き継がれています。
また、国際標準化機構(ISO)も「人的資本」情報開示のガイドラインを制定しました。
規格はISO30414といいます。
ISO30414は、「内部及び外部のステークホルダーに対する人的資本に関する報告のための指針であり、労働力の持続可能性をサポートするため、組織に対する人的資本の貢献を考察し、透明性を高めること(ISOHPより」として発表されました。
さらに、アメリカ合衆国の証券取引委員会(SEC)においても「人的資本」を情報開示する規則を定めています。
先進国を中心として「人的資本」の情報公開・情報開示が求められています。
東証上場企業以外の企業・団体も継続した安定経営をするために「人的資本」が重要であることに差異がないはずです。
4.人的資本経営に必要な取り組み
「人的資本経営」に必要な取り組みを紹介します。
第1に経営戦略に基づいた人事上の論点や目指す着地点を定義することです。
「人的資本経営」をすすめる上で重要な役割が、人事部門・人事制度になります。
2019年4に施行された「働き方改革法」対応に躊躇する・高齢化や定年年齢延長で「守り」の制度に追われた人事部門・人事制度が多いようです。
人事部門・人事制度は、当該の経営戦略と摺り合わせて、人事制度上の論点を見極めることが必要になります。
第2に継続戦略に基づいた人事上の目標との乖離を明確することです。
国内外情勢の変化・衛生衛生の変化・IT技術の飛躍的進化のなかで、経営戦略に基づいた人材像と実態との乖離幅が広まっているといわれています。
新入社員を採用してから膨大な年数をかけて育成させていく従業員だけでは長期的な経営戦略が達成できるでしょうか?情勢の変化・環境の変化に順応した人材確保・再教育をする必要があるようです。
第3に経営戦略に基づいた人事上の目標との乖離幅を埋めるために効率的・効果的な施策をすることです。
人事上の目標と現実との乖離を補完するためには積極的な投資をする施策を取り入れることを検討しましょう。
経営会議・役員会議で議論を尽くしても問題意識が共有されていない企業・団体が見受けられます。
このままでは同業他社に差をつけられていきます。
経営戦略に基づいた人事上の目的をと現状との乖離を明確にして効果的・効果的な施策を実践しましょう。
たとえば、人材補強の投資をして乖離を埋めることです。
第4に施策した効果を継続してモニタリングすることです。
施策は前章で紹介しましたが人材補強の投資や、人材教育の投資があります。
施策をしたことで、経営戦略に基づいた人事上の目的と現状との乖離幅をモニタリングすることが大切です。
投資をして人事上の目的に近づけば投資効果あったことになります。
企業・団体の取り組み姿勢を開示することで、機関投資家へのアピールにつながります。
定期的にPDCAを繰り返すことが重要です。
5.人的資本経営を取り入れる開発パートナー選びのポイント
「人的資本」経営を取り入れることは、企業・団体が導入している基幹システムとの連携と、直接の関連性がありません。
しかし、東証上場企業は、「人的資本」の情報開示が求められるようになります。
当社は東証上場企業・株式公開企業ではないから関係ないということではありません。
国際経済協力開発機構(OECD)、国際標準化機構(ISO)、アメリカ合衆国の証券取引委員会(SEC)が「人的資本」の情報開示・情報公開を求めています。
企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーは、同業他社の導入事例や異業種の導入成功事例を把握しているはずです。
その導入事例・成功事例をヒアリングしてみましょう。
「人的資本」経営を取り入れることは、企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーや顧問弁護士・付き合いのある経営コンサルタントなどに相談してみることをお勧めします。
大手電機メーカー、ITベンダー企業は基幹システムをする部門とは別に「人的資本経営・人材活用・人材育成」支援サポート部門があります。
現行の基幹システムを導入した開発パートナーの営業担当やプロジェクト・マネージャーに相談してみましょう。
まとめ
世界の事業経営の要素は、組織や従業員の「働きがい」「従業員満足度」を注視しています。
資本市場・投資市場・労働市場・商品市場から一歩リードする企業・団体になるために「人的資本経営」が非常に重要になっています。
企業・団体経営における、組織・人的資源の重要性を再認識し、事業継続できる強い組織づくりが重要です。
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