
MESを導入支援する開発パートナー選びのポイント
「MES」というIT用語をご存知でしょうか?「MES」の英語表記はManufacturing Execution Systemといいます。
頭文字3文字から「MES」が略称です。
日本で表記すると、製造実行システムといい、工場の生産ライン各工程と連携することで、場内の機器・従業員の作業を監視・管理するシステムのことを示します。
日本国内の工場は、IT化・デジタル化の対応が遅れています。
大量生産大量消費の時代から、多品種少量生産の時代に変遷しました。
そのため場内の生産工程の可視化と属人化の廃止が求められています。
生産管理に「MES」を導入することで、製造プロセスの可視化・特定従業員の属人化スキルを場内で共有することができます。
「ヒト」「モノ」「時間」の有限資産を効率的に活用し、生産性の向上につながります。
「MES」導入によって、製造工程のエラー率を削減して、全体的な製造効率を向上させます。
QCD(品質・コスト・品質)の継続的改善につながると期待されています。
これから「MES」とは何か?導入のメリットなどを紹介していきます。
目次
1.MESは何か?
「MES」の英語表記はManufacturing Execution Systemです。
頭文字3文字で構成される略称です。
日本語で表記すると「製造実行システム」になります。
製造工程それぞれの可視化と管理、工程の作業者への指示・支援を行う情報システムのことです。
また、製品を生産する「生産管理システム」の管理技術のひとつとして「MES」の機能が位置づけられています。
数式で表記すると「生産管理システム」>「製造実行システム」になります。
「MES」は、アメリカ合衆国の「MES」の標準化団体であるMESAインターナショナル(Manufacturing Enterprise Solutions Association International)が11の機能があると定義しています。
「MES」は下記の11の機能に基づきシステムが開発されています。
- 生産資源の配分と監視
- 仕様・文書管理
- 保守・保全管理
- 品質管理
- 作業のスケジューリング
- 差立(作業手配)・製造指示
- 作業者管理
- データ収集
- 工程(プロセス)管理
- 製品の追跡と体系管理
- 実績分析機能
です。
この機能により、工場内の生産性向上を実現します。
2.生産管理システムとMESの違い
生産管理システムと「MES(製造実行システム)」の違いを紹介します。
生産管理システムとは、製品の受注~納品までの生産に関わる情報(受注数量・納期がど)を管理する仕組みを示します。
今まで生産した実績・履歴データを基にして生産計画を立案するシステムです。
一部のソリューションによっては、生産管理システムの機能のひとつに「MES」の機能が含まれているものがあります。
生産管理システムと「MES(製造実行システム)」の違いは、管理する業務範囲に大きな差があります。
生産管理システムが対象とする管理範囲・業務範囲は、「生産計画」「工程管理」「品質管理」「原価管理」「納期管理」の製造工程に直接関係するものが中核になります。
生産管理システムによっては、「受注管理」「原材料在庫管理」「購買管理」「仕掛品管理」「仕損品管理」といった製造前後の工程や生産中の工程を管理するソリューションがあります。
「MES」は「場内で製品を製造する実行システム」です。
場内の設備・機械・原材料在庫・仕掛品在庫等の状況・生産数量をリアルタイムに把握します。
生産計画に基づき作業スケジュールを作成・調整・管理しながら、工程作業者に指示を出す仕組みです。
「MES」は生産管理システムの一部であり、場内の製造現場で活用される範囲が定まった仕組みです。
3.生産管理におけるMESの必要性
生産管理における「MES」の必要性を紹介します。
製造業は、徹底的なコスト削減を実行して、生産現場を効率化して生産性を向上することが求められます。
場内で「ヒト」「モノ」「時間」の資源を状況に合わせて最適な環境で活用する仕組みが必要です。
近年の消費者のニーズが多様化しています。
従来の日本の商習慣は、大量生産大量消費でした。
近年は多品種少量生産に変遷しています。
○〇製品に関して「生産数量」「生産期間」「生産納期」を迅速に予測して、リソースを確定していく必要があります。
生産計画から製造工程にブレイクダウンさせる複雑な作業をマニュアル管理することは難儀です。
そのため最新IT技術の活用が不可欠です。
「MES」の導入により場内の各工程の作業内容を細かく管理・可視化します。
必要最低限の資源から低コストで効率的に良品を製造できるようになります。
4.MESが備える11の機能
MESが備える11の機能を紹介します。
前章で紹介しましたが「MES」の基本機能はアメリカ合衆国の「MES」推進団体のMESAが「MESA-11 model」として11の項目を発表しました。
これから11の機能を紹介します。
第1に「生産資源の配分と監視」です。
英語表記はResource Allocation & Statusです。
生産資源の状態を監視・管理して、予約・配分を実施する機能です。
生産資源とは装置・工具・金型・設備・人材を示し製造後も場内に残るものです。
第2に「仕様・文書管理」です。
英語表記はDocument Controlです。
生産指示書・レシピ・図面・手順書・仕様書・製品構成部品表データを蓄積・編集する機能です
第3に「保守・保全管理」です。
英語表記はMaintenance Managementです。
設備・装置・工具などの可用性を管理します。
定期保守・予防保全の計画を立案・実行する機能です。
第4に「品質管理」です。
英語表記はQuality Managementです。
生産に関わる情報をリアルタイムに「収集」「測定」「分析」して、適正な品質管理をする機能です。
第5に「作業のスケジューリング」です。
英語表記はOperations/Detailed Schedulingです。
生産計画に基づき、詳細なスケジュールをブレイクダウンする機能です。
第6に「差立(作業手配)・製造指示」です。
英語表記はDispatching Production Unitsです。
各工程作業の最適な順序を決定して、工程作業者に指示する機能です。
指示は作業単位に実行されます。
第7に「作業者管理」です。
英語表記はLabor Managementです。
工程作業者の作業状況を監視・管理して、最適な作業割り当てを決める機能です。
第8に「データ収集」です。
英語表記はData Collection & Acquisitionです。
各工程の進捗状況・作業履歴を収集・分析する機能です。
作業の開始・終了を指示端末にマーキングして実績を登録します。
第9に「工程(プロセス)管理」です。
英語表記はProcess Managementです。
生産状況を監視して、工程作業者の判断・意思決定を支援する機能です。
仕損じや例外状況において警告を発することが可能です。
第10に「製品の追跡と体系管理」です。
英語表記はProduct Tracking & Genealogyです。
仕掛品の追跡と次の工程を把握する機能です。
第11に「実績分析」です。
英語表記はPerformance Analysisです。
過去の作業履歴・予実対比して生産状況を分析します。
報告書作成・進捗管理、出荷予測を行う機能です。
上記工程で、1~4は「モノの管理」、5~7は「ヒトの管理」、8~11は「全体の管理」に機能です。
5.MES導入のメリット
「MES」導入のメリットを紹介します。
第1に生産状況上での「無駄」を削減することです。
リアルタイムで作業状況の監視、在庫の管理が実施できます。
場内の無駄を削減できます。
仕損じ等で突発的に在庫の減少するケースでも、臨機応変に手配することができます。
また、過去の生産履歴データから設備・装置・工具の不具合や異常を予測することで、不良品の発生を未然に防ぐことができます。
第2にトレーサビリティの確保することです。
各工程の生産実績を把握しているので、設備・レシピ・原材料部品・工程作業者の現況を把握できます。
何らかの問題が生じたとき、製品・部品・原材料に対する流通経路を追跡することができます。
第3に技能の伝承です。
場内で製品を製造するときに必要な情報を蓄積して、作業に関係する作業手順・留意事項をシステム化できます。
従来は、熟練作業員・ベテラン作業員が把握しているノウハウ・スキルを場内全体に共有することが可能になります。
従来の日本型生産の仕組みであった「勘」「経験」に委ねていた業務を平準化することがきます。
慢性的な人手不足といわれるなかで、属人的であった業務を場内作業員が平均して担うことになれば、場内の作業効率は大幅にアップします。
6.MESを導入支援する開発パートナー選びのポイント
「MES」は、企業・団体が導入している基幹システムとの連携が必要になります。
とくに生産管理システムを導入しているケースであればシステム間連携は不可欠です。
「MES」の導入は、企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーと協議しましょう。
生産管理システムを導入した開発パートナーによっては「MES」を含めたソリューションを組み込んでいるアプリケーションを用意していることもあります。
「MES」導入は、場内の業務を変革・変更する必要あるので、社内プロジェクトを立ち上げて、大手電機メーカーSI技術者、ITベンダー企業のSI技術者をサポート要員で参画させましょう。
「MES」導入による業務改善は全社的な改革になります。
「MES」を導入するときは、基幹システムを導入した開発パートナー企業の営業担当やプロジェクト・マネージャーに相談してみましょう。
まとめ
「MES」を単体で導入しても生産性向上にはつながりません。
販売管理システム・営業管理システム・生産管理システムと連携することで、全社的な生産性向上につながります。
生産管理システムと「MES」を連携する最大な目的はQCDの最適化です。
システム開発のITパートナー探しをされるのであれば
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