WBSを導入支援する開発パートナー選びのポイント

「WBS」というIT用語を聞いたことがありますでしょうか?毎晩テレビ東京で放映される報道番組「WBS」『ワールドビジネスサテライト(WORLD BUSINESS SATELLITE)』と同じ略称ですが、まったく別の用語です。

「WBS」とは、Work Breakdown Structureの略称です。

日本語は「作業分解構成図」のことを示します。

システム開発プロジェクトを運営していく上での使用する作業工程の構成図を作成することです。

プロジェクト・マネージャー職、システムエンジニア職の方々は、実際にシステム開発プロジェクト計画の工程で「WBS」を作成した経験があるのではないでしょうか?
システム開発プロジェクトの開始時に作成する「WBS」ですが、作成することが慣習になっているので作成している、上長からの命令で作成しているという方々がいらっしゃるようです。

「WBS」を作るとどのようなメリットがあるのか?「WBS」はどうやって作るのか?と思われる方もいるのではないでしょうか。

「WBS」を作成することを理解して「WBS」をプロジェクト運営に活用しているでしょうか?どのプロジェクトでも成果物として作成し納品するものとて形骸化していることはありませんか?
これから「WBS」とは何か?導入するメリット、作成方法、注意点を紹介していきます。

「WBS」を理解して、今後のプロジェクト管理に役にたてば幸いです。

 

 

1.WBSとは何か?

「WBS」は英語表記でWork Breakdown Structureといいます。

頭文字3文字で構成される略称です。

日本語では作業分解構成図といい、作業を分解して構造化する方法です。

プロジェクト全体の作業を大きな工程(ワークパッケージともいいます)のタスクとしてあげていきます。

徐々にタスクを分解して小さな工程作業にブレイクダウンしてツリー構造にしていくことです。

個々の工程には、その工程に関わる員数・工期(工数)を見積もりしておきます。

大きな工程から段階的に中規模工程・詳細工程にブレイクダウンすることで、プロジェクト計画を行う上で、工程の漏れがないか否かを確認することができます。

また、「WBS」と「ガントチャート」を混同されるケースがあるようです。

「ガントチャートは「WBS」の一部と捉えてください。

「ガントチャート」は、プロジェクト進行するうえで、スケジュール管理・進捗管理・マイルストーン(プロジェクト内の大きな節目でテストや検収を行うタイミング)などを時系列形式で管理する手法です。

「WBS」は工程を縦方向に構造化した形式で管理する手法です。

基本である「WBS」を作成することで、個々の工程が明確になります。

その工程を「ガントチャート」に組み込み作成します。

 

 

2.WBSのメリット

「WBS」のメリットを紹介します。

第1に作業の分解により作業項目を整理できることです。

「WBS」はプロジェクトなかで、どのような作業があるか把握できます。

「WBS」はブレイクダウン方式で作業を分解してツリー構造により工程を管理します。

どのような作業があるか・やるべき作業はなにかを整理して、工程の抜け・漏れ・重複を防ぐことが可能になります。

従来のシステム開発プロジェクトは、作業全体図がプロジェクト・マネージャーの頭のなかにありました。

「WBS」を作成することで、お客先様やプロジェクト・メンバーがプロジェクトの進捗状況を共有できます。

手戻りやトラブルを抑止する効果があります。

第2に詳細なスケジュールによって進捗管理ができることです。

「WBS」は個々の工程の作業進捗状況を管理できます。

個々の工程が明確化したら、役割分担・作業手順を「ガントチャート」に展開します。

個々の工程を「ガントチャート」の横軸である時系列スケジュールを記載します。

工程別の進捗状況をマーキングして予実管理を行うことができます。

個々の工程の進捗状況が可視化するため、遅延工程の対処を迅速に行うことができます。

第3に作業工数の可視化により役割分担が容易になります。

「WBS」で工程の分解ができれば、全体の工数見積もりを明確になります。

個々の工程を細分化して、見積もり工数を積み上げることで高位な精度の見積もりを作成することができます。

個々の工程の細分化が不十分ですと、誤差が大きくなり得ます。

また、工程を細分化することで、役割分担が容易になります。

個々の工程を適宜に分解できていれば役割分担と責任範囲がはっきりします。

ここでは、個々の工程を細分化する能力とスキルをもつプロジェクト・マネージャー、システムエンジニアがキーマンになります。

個々の工程の細分化が不明瞭のケース・責任者が不明確のケース・工程が空欄のケースが散見されます。

上記の不明瞭な工程をそのままにしておくと、作業分担が曖昧になり作業遅延などトラブル発生のリスクを抱えることになるので、注意しましょう。

 

 

3.WBSの作成方法

「WBS」の作成方法を紹介します。

第1に作業の洗い出しを行います。

「WBS」は、システム開発プロジェクトの個々の作業の洗い出しをする必要があります。

何から始めて、着地点を明確することです。

着地点が明確にしておかないと必要な作業の流れにブレを生じてしまいます。

着地点に到達するために必要な作業を洗い出し「WBS」を作成します。

個々の工程を明確にするとともに、個々の工程の責任者または担当者を決めておきましょう。

責任者または担当者には個々の工程の役割をすり合わせて合意しておくことが大切です。

工程の途中で「聞いていない」「指示してある」などの乖離を防止するための取り決めです。

第2に作業順序を明確にします。

作業順序は、特定の工程が完了していないと次工程が開始できないものと、他の工程の進捗状況に影響を受けずに独立したものがあります。

個々の工程の依存関係を認識して作業順序を設定しましょう。

一部の工程に進捗遅延することがあり得ます。

その工程が完了しないとプロジェクト全体がスケジュールに進めないことがあります。

これを「クリティカルパス」といいます。

「クリティカルパス」は、前の工程が終わらないと次の工程が始まらないという依存関係の要点を示します。

プロジェクトで作業順序を立案するときには、重要なポイントとされています。

第3に個々の工程の構造化させることです。

「クリティカルパス」を意識して、個々の工程の作業を構造化していきます。

「クリティカルパス」までに個々の工程が完了するように構造化したスケジュール調整をします。

ある工程で進捗遅延が生じて「クリティカルパス」に影響があることを事前に察知できれば、遅延工程グループを増強する施しをします。

 

 

4.WBSを作成する際の注意点

「WBS」を作成する際の注意点を紹介します。

第1に不明確な工程を作らないことです。

システム開発プロジェクトの個々の作業の洗い出しをするときに、不明確な工程を作成しないことです。

作業の工程がきまっていても、お客先様の都合で入力画面や出力画面の仕様が決まらないケースが散見します。

確定できない工程があるケースでも、プロジェクト全体の「WBS」を作成する必要があります。

そのため不明確な工程があっても進行させることがあり得ます。

また、「WBS」はプロジェクトごとに作成しますが、モデル形(雛型)を準備しておきましょう。

「WBS」をプロジェクトごとに白紙から作成していくと、作業の欠損・漏れを生じる可能性があります。

類似したプロジェクトごとに「WBS」のモデル形を準備しておくと作業効率がアップします。

第2に工数を正確に見積もりましょう。

個々の工程ごとに作業工数の見積もりをして、積み上げた工数が過剰見積もりに至るケースがあります。

また、納期を過剰に意識して工数見積もりをすると歪を生じるケースがあります。

そのため、個々の工程は適宜な工数見積もりに抑えて、プロジェクト全体でバッファを取るようにしましょう。

また、個々の工程間の依存関係を把握して妥当な工数見積もりをすることが大切です。

 

 

5.WBSを導入支援する開発パートナー選びのポイント

「WBS」導入は、企業・団体が導入している基幹システムとの連携は必要ありません。

しかし、企業・団体の組織で情報システム部門、IT関連部門があり、自社内で基幹システムの改修・サブシステムを構築するときは、「WBS」の導入を比較・検討をしましょう。

企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナー企業は、「WBS」を導入したプロジェクト管理をしていることがあります。

担当のプロジェクト・マネージャーに相談してみることをお勧めします。

大手電機メーカー、ITベンダー企業、ITベンチャー企業は基幹システムをする部門以外に「WBS」をサポートする担当エンジニアを用意させています。

現行の基幹システムを導入した開発パートナーの営業担当やプロジェクト・マネージャーに相談してみましょう。

 

 

まとめ

「WBS」は個々の工程を細分化して構造化することで、個々の工程の洗い出し・整理・正確な進捗管理・作業分担の明確化に効果を発揮します。

「WBS」は個々の工程の洗い出し・作業順序の確定・ブレイクダウンした構造化で作成できます。

大切なことは、不明確な工程をそのままにしないこと・正確な工数見積もりすることです。

曖昧な工程を放置せず、効率的なプロジェクト管理を行いましょう。

 

 

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