デジタル庁設立でIT関連の法改正をサポートする開発パートナー選びのポイント

2019年年末に流行の兆しがあった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2021年秋に至っても収束されません。

国は新型コロナウイルス感染症対策で大混乱しているなかで、2021年9月にデジタル庁を設立しました。

行政・民間業務のデジタル化の動きを受け、デジタル改革関連6法が成立・施行されました。

デジタル庁は、デジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助け、その行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを目的として内閣府に設置されました。

デジタル庁は、復興庁と同様に国家行政組織法の適用が除外されています。

国・地方行政のIT化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を目的としてIT分野を担当する省庁です。

庁のスローガンは「Government as a Startup」で、意味がわかりません。

 

 

1.デジタル庁

第99代菅義偉内閣は、国全体のデジタル化を看板政策とし、デジタル化の司令塔となるデジタル庁を2021年9月1日に発足させました。

検討開始から設置までの期間は、国家組織として異例の速さでした。

当時の菅首相の肝入れで5月に発表し9月に設立と超短期間の設立でした。

初代の担当大臣は平井卓也さんで、2021年10月から岸田内閣では牧島かれん大臣が任命されました。

2021年5月12日には、デジタル庁関連6法が成立しています。

 

 

2.デジタル改革関連法

デジタル改革関連法は一つの法律ではなく、6本の法律で構成されています。

その6本は、①デジタル庁設置法、②デジタル社会形成基本法、③デジタル社会形成整備法、④公金受取口座登録法、⑤預貯金口座管理法、⑥自治体システム標準化法です。

行政でデータの利活用を進め、社会課題の解決に活かすために、デジタル化を進めることを目的とした抽象的な曖昧法になっています。

 

2.1.デジタル庁設置法

デジタル庁設置法は、デジタル庁を設置するための法律です。

デジタル改革関連法6法の目玉です。

デジタル庁は、復興庁と同様に内閣直属の組織に位置付けています。

デジタル庁は各省庁への勧告権等をもち、デジタル社会づくりに関する司令塔として、国及び地方公共団体の情報システムの統括・管理をする権限が与えられています。

主な業務は、マイナンバーカードに関する業務の地方公共団体からの移管業務・各府省が共通で利用するシステムと地方公共団体が利用するプラットフォームを整備することです。

国と地方公共団体の壁を超越した総合的な情報システム機関になります。

2.2.デジタル社会形成基本法

デジタル社会形成基本法は、デジタル社会づくりによる日本経済の持続的かつ健全な発展と国民の幸福な生活の実現等を目的(抽象的で曖昧な)とする法律です。

2000年に成立した高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)がありました。

IT基本法はインターネットの普及とともに求められた情報通信ネットワークの充実が目的でした。

デジタル社会形成基本法はこうしたネットワークの存在を前提に収集されるデータの利活用を重点に置いています。

デジタル社会形成基本法は、デジタル社会づくりについての基本理念を示す法律です。

その基本理念には10原則という抽象的で曖昧な定義があります。

①オープン・透明、②公平・倫理、③安心・安全、④継続・安定・強靱、⑤社会課題の解決、⑥迅速・柔軟、⑦包摂・多様性、⑧浸透、⑨新たな価値の創造、⑩飛躍です。

以上は日本のデジタル社会づくりの大方針です。

上記の抽象的で曖昧な原則に従って国民のニーズに応えるサービス提供に必要な環境整備を行うことを定めています。

マイナンバーカードに関する業務についてはデジタル庁へ移管されます。

地方公共団体との共管もありますが、何も決まっていません。

また、デジタル社会形成基本法では官民連携が基本です。

国・地方公共団体が共通のシステムを導入する予定ですが、何も決まっていません。

ITベンダー企業・大手システムソリューション企業と共同でシステムの改修が想定されますが、何も決まっていません。

企業・団体の基幹システムに影響があるようですが、何も決まっていません。

 

2.3.デジタル社会形成整備法

デジタル社会形成整備法を紹介します。

デジタル社会形成整備法は「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」が名称です。

個人情報保護法の改正を行い、地方公共団体別であった制度を全国的な共通ルールにすることです。

マイナンバーカードの発行・運営体制の強化をします。

国家資格に関する事務処理は、マイナンバーを利用した情報連携を行うようですが、何も決まっていません。

医師免許申請を例えにします。

現在は住民票の写し又は戸籍謄本の添付が必要です。

デジタル社会形成整備法は、マイナポータルを通じて申請を行うことでクラウドコンピューティングに保管された戸籍関係の情報が提供されるので、上記書類の添付は不要になります。

さらに、行政の手続きは押印を求める書類が多いですが、押印を不要にします。

書面交付を要する手続きはPDFファイルの交付に切り替わります。

 

2.4.公金受取口座登録法

公金受取口座登録法を紹介します。

公金受取口口座登録法は「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律」が名称です。

公的な給付の申請手続きの簡素化と給付を迅速化にする法律です。

希望者は公的支給を受けるための銀行口座をマイナンバーとともにオンライン申請します。

行政機関は公的給付時に登録情報を活用して、迅速に公的給付されます。

繰り返しお伝えしますが、希望者が申請してマイナンバーと銀行口座のリンケージをします。

強制ではありません。

法律の施行に伴い「マイナンバー詐欺」が危惧される状況です。

 

2.5.預貯金口座管理法

預貯金口座管理法を紹介します。

預貯金口座管理法は「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」が名称です。

希望者が自分自身の意思で「マイナンバーと預貯金口座をリンクする」を希望することにより、金融機関がその口座を管理可能とすることを目的にする法律です。

これからは一つの金融機関の窓口でマイナンバーによる管理を申請すると、預金保険機構経由して全ての金融機関の預貯金口座のマイナンバー申請が不要になります。

マイナンバーで該当者の預金状況がリンケージされ可視化される恐ろしい仕組みです。

繰り返しお伝えしますが、希望者が申請してマイナンバーと銀行口座をリンケージします。

法律のキャッチフレーズは、預貯金者が亡くなったとき、相続人が預貯金者口座を各金融機関に申し出てしていました。

今後は一つの金融機関で相続人であることの確認が取れれば、該当する金融機関への申し出が不要になります。

盲点があります。

預貯金者と相続人のリンク確認手段の記載がありません。

曖昧な法律といえます。

 

2.6.自治体システム標準化法

自治体システム標準化法を紹介します。

自治体システム標準化法は「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」が名称です。

地方公共団体個別の情報システムを標準化することです。

その対象範囲は児童手当・住民基本台帳~生活保護までの行政サービスを対象としています。

今後は、北海道から南大東島まで、同一システムが導入されます。

 

 

3.デジタル庁設立でIT関連の法改正をサポートする開発パートナー選びのポイント

デジタル改革関連法は、6本の法律で構成されます。

マイナンバーを基にした行政実務に影響を与えることがわかっています。

人事部門・総務部門・財務部門で給与・賞与・年末調整事務を担当される方々や、社会保険関係を担当される方々は、国・地方自治体のシステムが改修されるので、影響があるかもしれません。

また、マイナンバーの推進によって、基幹システムを運用・保守をする情報システム部門やIT関連部門の業務を担当される方々は、業務への影響があるかもしれません。

そのため、企業・団体の基幹システムは、デジタル改革関連法に準じたシステム改訂が必要になる可能性があります。

2021年9月に成立した法律ですので、法律に詳しい開発パートナーは少ないと考えられます。

基幹システムを導入した取引がある開発パートナーと相談しながらすすめていきましょう。

 

 

まとめ

デジタル改革関連法はマイナンバー推進法といえます。

マイナンバーの所管を総務省・内閣府からデジタル庁へ移行します。

2022年末に、全国民にマイナンバーカードが行き渡ることを目標にしています。

恐ろしい「国民総背番」制度が本格化してきました。

 

 

システム開発のITパートナー探しをされるのであれば

システム開発のITパートナー探しをされるのであれば「システム開発コンシェルジュ」で是非ご相談いただければと思います。

以下のフォームより開発でご相談いただきたい内容などご相談ください。

    関連記事一覧