PoCを推進する開発パートナー6選

「PoC」というビジネス用語、またはIT用語を聞いたことがありますでしょうか? 「PoC」の英語表記は、Proof of Conceptといい、頭文字3文字で構成される略称です。

日本語では、概念実証・コンセプト実証と訳されます。

新しい技術・概念・理論等が、実際に実現できるか?実用化できるか?を確認するための手法のことをいいます。

さらに、当該技術・概念・理論等にどのような効果・効用があるか否かを精査する手続きを示します。

「PoC」は、AI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)等の新技術・新システムの開発・設計・導入を検討するときに実施します。

近年はセキュリティー対策の強化・強靭化するソリューションを構築するときに実施します。

これから、「PoC」と何か?「PoC」のメリット・デメリットを紹介します。

さらに「PoC」を推進した開発パートナー企業の事例を紹介していきます。

 

 

1.PoCとは何か?

「PoC(Proof of Concept)」は、新しい技術・概念・理論が、実際に実現可能であるか? 実用化することが可能か? 十分な効果を得ることが可能か否かの精査をする一連の確認工程のことをいいます。

実現性・実用化・十分な効果確認とコストを具体的に精査することは、新しい技術・概念・理論・アイデアの創造をするときに重要な工程です。

医薬品開発を例えにします。

医薬品を開発すると臨床試験を行います。

臨床試験工程では「PoC」を行います。

効果・安全性を確認するために動物や健康な人間に対して第Ⅰ相試験を実施します。

(「相」はステップのことを示します。)第Ⅰ相試験が終ると、少数の患者さんを対象に第Ⅱ相試験を実施します。

その後、大勢の患者さんを対象に第Ⅲ相試験を実施します。

上記の第Ⅱ相試験を実施することき「PoC」を利用します。

「PoC」は一般的に企業・団体・組織が取り入れている「PDCA」サイクル(生産管理や品質管理などの管理業務を継続的に改善していく手法です。)に目標を掲げた一連の精査工程と捉えていただくとイメージがつきやすいとおもいます。

「PoC」は製薬会社向けの精査手法ではありません。

IT業界・映画業界も活用しています。

IT業界は、新しいシステムのリリースをする前に、プロトタイピング、CG技術などをテスト設計書に相当する工程が「PoC」になります。

 

 

2.PoCを実施するメリット

「PoC」を実施するメリットを紹介します。

第1にシステムの実現性・ROI(費用対効果)を確認できることです。

「PoC」により製品化が可能であるか否か?ROIがどうなのか?確認することで、計画→開発→実証試験→製品化の工程をすすめます。

従業員・社外モニターに試作品を使用してもらい、フィードバックを収集して改善策に活かしてすすめます。

第2に無駄な経費を削減することにつながります。

「PoC」を実行することで、計画の不確実性を確認することができます。

早い段階で開発・製造工程を取りやめて無駄な経費を抑制することができます。

第3に投資家や企業・団体から注目される題材になります。

新製品の「PoC」を実行することで、当該製品開発の現実性をアピールすることができます。

投資家や協力企業などから高位な評価を得ると、より多くの投資につながります。

 

 

3.PoCを実施するデメリット

「PoC」を実施するデメリットを紹介します。

第1に「PoC」に多くの期間・経費をかけることで「PoC貧乏」に至ることがあります。

「PoC」に期間・経費をかけた結果、不確実性のケースが多くなると、利益をあげることができず「PoCによる貧乏」状態に陥ることがあります。

第2に「PoC疲れ」が生じることがあります。

「PoC」を実行しても期待通りの成果を得ることができずに、「PoC」工程内で停滞していると「PoC疲れ」の陥ることがあります。

第3に「PoC」を実行することが目標になってしまうことです。

「PoC」は製品・サービス等の精査をする手法です。

「PoC」による成果がでないと。

成果がでる目標に切り替わっていることがあります。

「PoC」の目標・着地点を見失いよう明確にしておきましょう。

4,PoCを実施する工程を紹介します。

PoCを実施する工程を紹介します。

管理業務を継続的に改善していく手法「PDCA」サイクルに目標・着地点を掲げた精査・検証手法とイメージしてください。

第1に「目的」「着地点」を設定します。

「目標」「着地点」を明確にして、必要な実験・精査作業を決めていきます。

第2に実験・精査のすすめ方を取り決めます。

実験のすすめ方と精査結果の収集方法をこまかく決めます。

実際の使用環境・利用者に近いシナリオを準備することが重要です。

第3に実験・精査を実行します。

上記2で決めた手順で実験・精査を実行します。

より多くの従業員・社外モニターに試作品を使用してもらいフィードバックを収集します。

第4「評価」です。

第3の結果に基づき、実現性の評価を行います。

課題点をまとめます。

第5次のステップへ遷移します。

評価結果に基づき、研究開発・製品化の方針を決定します。

実用性の評価を得ると、課題を改善して「PoC」を繰り返します。

 

 

5.PoCを推進する開発パートナー6選

「PoC」を推進して新しい技術を現実化したプロジェクトをすすめた開発パートナー6選を紹介します
その1 BOLDLY株式会社(ボードリー)による自動運転バスの実用化です。

BOLDLY株式会社(ボードリー)はソフトバンクとの合弁会社であり、スマートモビリティサービスの主な事業です。

主に路線バス、テーマパーク内、イベントで「PoC」を活用し実証実験を実施しました。

国内で初めて自動運転を前提に設計された車両を公道の走行に成功しました。

参考URL https://www.softbank.jp/drive/set/data/press/2020/shared/20200219_01.pdf

その2 大成建設による5Gを活用した工事現場の安全管理「i-Construction」の導入です。

「i-Construction」は工事現場に導入して作業員の安全管理と生産性の向上を目指す取り組みです。

「i-Construction」の実現に向け、5Gと「PoC」を活用した実証実験をトンネル工事現場で実施しました。

近年、トンネル工事で落盤・ガスの噴き出しの不測事態のより人命にかかわる事故が発生しているため、早期に実証試験を実行し安全管理をすすめています。

参考URL https://www.taisei.co.jp/about_us/wn/2020/200128_4869.html

その3 ソフトバンクとWPCがトラック隊列走行の実用化です。

ソフトバンクとWireless City Planning(WPC)は5Gを活用したトラック隊列走行に世界で初めて成功しました。

隊列走行とは3台のトラックを走行させます。

先頭のトラックは有人ですが、後続の2台のトラックは無人です。

「PoC」手法で東名高速道路を時速約80kmで3台の隊列走行の実証実験を行い、成功しました。

参考URL https://www.softbank.jp/corp/news/press/sbkk/2020/20200325_01/

その4 防災科学技術研究所と伊丹市による防災チャットボット「SOCDA」の実用化です。

「PoC」を手法で、災害時の避難と伊丹市の勧告・指示をする意思決定の支援をする防災チャットボット「SOCDA」の実証実験を実行しました。

災害時の状況を地図上に可視化させて、被害をシステムで分析して安否確認を行う仕組みです。

参考URL https://www.bosai.go.jp/nr/info/info_detail_01.html

その5 富士通による観光地での人の流れをIoTで可視化しました。

「PoC」手法で、北海道の9つの市町でIoTによる人流を可視化するシステムの実証実験を行いました。

市町内に設置されたWi-Fiセンサーを利用して、人流状況をグラフ化することで混雑状況、移動ルートを分析しています。

参考URL https://pr.fujitsu.com/jp/news/2019/12/10.html

その6 東芝テックによるAI・IoTによる無人店舗の実用化です。

東芝テックは東京都大崎の事業所内売店で、「PoC」手法でAIとIoTを活用した無人店舗の実証実験を行いました。

店員を配置せずにスマートフォン・タブレット端末・センサー技術を活用して無人店舗を実用化しました。

センサーカメラで利用者と購入商品を特定します。

無人店舗にはレジがありません。

欲しいものを持ち帰り、支払いは給与から天引きさせる仕組みです。

参考URL https://www.toshibatec.co.jp/release/20190822_01.html

 

 

まとめ

「PoC」成功のポイントは、プロジェクトを開始する前に「目標・着地点」を明確にすることです。

「PoC」に関わる全プロジェクトメンバーが「目標・着地点」を共有することで、「PoC貧乏」「PoC疲れ」に至ることがかくなり、最大限の効果を得ると期待されています。

これから「PoC」は、新製品・新サービスの開発に限定せずに、DX推進に活用するよう広がりをみせています。

また「PDCA」手法もあります。

効果を見極めて導入しましょう。

※注意事項があります。

「PoC」の導入は、企業・団体が導入している基幹システムに影響することがあります。

影響を精査して導入することをおすすめします。

 

 

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