
AIパーソナル教材を導入支援する開発パートナー選びのポイント
2020年~2021年にかけて全国の公立小中学校に教材としてパソコンが配布されています。
文部科学省が立ち上げた「GIGAスクール構想」で、全国の小中学校の児童・生徒全員にパソコンを無償貸与しています。
「GIGAスクール構想」は2019年から2023年までの5年間で整備する予定でした。
しかし、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを受け、急遽2021年度中までに完了するよう前倒しされています。
前記の文部科学省が立ち上げた「GIGAスクール構想」は政府が掲げた「Society 5.0」の一環です。
IT化・デジタル化が飛躍的な進歩をしているなかで、相応しい教育環境を整備することが急務となっています。
政府は「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(2020年12月8日閣議決定)で「義務教育段階で本年度中に1人1台端末環境が整備されるなか、高等学校段階を含む各教育段階において ICT 化・オンライン化を推進し、誰ひとり取り残されることのないよう、デジタル社会にふさわしい対面指導とオンライン・遠隔教育のハイブリッドによる新しい学び方を実現していく。」としました。
政府の掲げた「Society 5.0」は、「地球の未来をともに切り開こう」とのキャッチフレーズで、サイバー空間・フィジカル空間を高度に融合させたシステムによって開かれるこの社会を創生するそうです。
文部科学省からの通達で、小中学校・高等学校の児童・生徒に1人ひとりにパソコンが配布されます。
パソコンは「AIパーソナル教材」としての役割を担います。
「AIパーソナル教材」とは、児童・生徒が問題を間違えると、その原因をAI機能が分析と推定し、児童・生徒の問題の習熟度に沿って教材を提供するアプリケーションを示します。
一般的な授業は、先生が黒板(またはWB)を用いて全生徒に対して同じ内容を教授しますが、「AIパーソナル教材」による授業は、パソコンを通して児童・生徒1人ひとりの学習状況に合った内容を教育指導ができます。
目次
1.AIパーソナル教材とは何か?
「AIパーソナル教材」とは教育用の教材のことです。
新型コロナウイルス感染症対策で、2021年度中に小中学校・高等学校の児童・生徒へパソコンが配布されます。
小中学校・高等学校では、オンライン授業が行えるようになりました。
また、ITベンダー企業では、「AIパーソナル教材」の開発・導入がすすんでいます。
そのなかで注視されている教材が「すらら」「Qubena」「atama+」といった教育アプリケーションです。
児童・生徒の得意分野・苦手分野を分析して、最適化されたコンテンツを提供する仕組みです。
2,児童・生徒が1人1台のパソコンを持つ時代に遷移しています
前章で紹介しましたが「GIGAスクール構想」で、全国の児童・生徒に1人1台のパソコンが配布されています。
目的は、児童・生徒の得意分野・苦手分野をAI機能が分析して、苦手分野を解消させる最適な環境を整備することです。
新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響により、2020年2月から休校・分散登校を受け、文部科学省は「GIGAスクール構想」を前倒しました。
2021年度末には全国の小中学生・高等学校生にパソコン端末を配布しています。
元来2023年度中にパソコン端末を配布する予定が2年早まりました。
児童・生徒は、オンライン授業やオンライン集会を受けることができます。
また、教育委員会・学校は「AIパーソナル教材」の導入をすすめています。
3.AIパーソナル教材が教育にもたらすメリット
「AIパーソナル教材」のメリットを紹介します。
第1に「子どもの学習レベルに適したアドバイスを提供できること」です
学習能力は一人ひとり異なるため、教室の授業では理解度に差違が生じることがあり得ます。
「分からない部分を質問できずに授業に付いていけない」ことがあります。
「AIパーソナル教材」の導入で「何が分からない」という根本的な課題が解消させると期待されています。
第2に「リアルタイムでのアドバイスが可能になること」です
「AIパーソナル教材」導入で「いま学習するべき内容」をリアルタイムでアドバイスすることが可能になります。
そのため、勉強にロスを生させるリスクを削減できます。
第3に「教職員の負担軽減です」
教職員は、点呼・試験監督・採点の本業、授業以外に登下校支援・教室の消毒などの本業以外の業務があります。
「AIパーソナル教材」の導入で、点呼・試験監督・採点の本業業務を自動化することができます。
教職員は授業の準備や児童・生徒一人ひとりの指導業務に集中できるようになります。
近年は教職員の長時間労働が課題です。
教職員はブラック要素がある職種ともいわれています。
「AIパーソナル教材」導入で教職員の業務負担が軽減されるのです。
教職を目指す学生に「教師の職業イメージ」がプラス方向に変化すると期待されています。同時に教職員の人手不足解消につながります。
第4に「実績データに基づいて授業や教材の評価が可能になります」
AI機能の目的は、膨大なデータを蓄積して、分析・解析することです。
授業・教材の評価を行うときに活用可能です。
実績データを基にして、授業の理解度を可視化することができます。
教職員自身の具体的な課題発見につなげられる可能性もあり得ます。
第5に「教育の低コスト化」です
「AIパーソナル教材」の導入で、自動化する業務を多くすることで、人件費削減につながります。
点呼・試験監督・採点の本業が自動化することで、教職員の負荷が軽減され、残業時間が削減されると期待されています。
第6に「成績を正確に分析できること」です
従来は、教職員自身が児童・生徒一人ひとりの成績を付けていました。
「平等に評価すること」が厳守されずに私情が関係しないとは言い切れません。
「主観的評価」は低減させるために「AIパーソナル教材」導入が必要になります。
「AIパーソナル教材」は過去の成績~現在の成績を基に分析するため、平等な評価をすることが可能になります。
4.AIパーソナル教材が教育にもたらすデメリット
「AIパーソナル教材」のデメリットを紹介します。
第1に「教職員データの蓄積が必要なこと」です
AIは膨大なデータを蓄積して機械学習させる必要があります。
教職員のもつ情報量が蓄積していないケース、少ないケースでは精度の高い分析と予測をすることができません。
AIは教職員の持つ情報がより多く蓄積することで、高精度の分析・予測をすることができます。
第2に「思考プロセスが不明なこと」です
AIでは「思考のプロセス」の予測をすることができません。
「思考のプロセス」を明確にしない状態で児童・生徒をすることになります。
そのため、児童・生徒から「どうして」「なんで」等の説明責任を求められます。
全てを「AIパーソナル教材」に任せることは慎重にする必要があります。
第3に「考える力」や「学ぶ意思」を学ぶことは難しいことです
教育では「物事を解決する方法を考える能力」「教科でわからない箇所を理解する能力」を養います。
「AIパーソナル教材」導入では、前記2つの能力を養うことができません。
そのため「考える力」「学ぶ思考」は教職員によるコミュニケーションで教育・指導することになります。
第4に「責任の所在が曖昧なこと」です
多くの業務を「AIパーソナル教材」に移行したとき、教室等でトラブルが発生したときの責任の所在が曖昧になり得ます。
「AIパーソナル教材」導入時は、事前に責任範囲を明確にしておきましょう。
第5に「教職員の削減による課題」があります
「AIパーソナル教材」の導入で業務が自動化していきます。
従来の対面授業が減少して「AIパーソナル教材」へ移行することで、教職員数を見直すケースが出てきます。
今後、教職員を目指す大学生には大きなデメリットといえるでしょう。
5.AIパーソナル教材を導入支援する開発パートナー選びのポイント
パソコン端末のハードウェアは富士通・NEC・Apple社が多く導入されています。
教育委員会や学校で一括導入するので、開発パートナー選びが限定的です。
「AIパーソナル教材」のアプリケーションは、多くのITベンダー企業が提供しています。
その一部を紹介します。
①「すらら」
株式会社すららネット社製です。
インターネットを通じてゲーム感覚で学ぶ、対話型デジタル教材です。
小学生から高校生までの5教科に対応しています。
②Qubena(キュビナ)
株式会社COMPASS社製です。
タブレット端末で導入が可能です。
児童・生徒の学習レベルに応じた問題を出題します。
誤答した問題をAIが収集し、誤答した原因の解析をしてくれます。
③TerraTalk(テラトーク)
ジョイズ株式会社製です。
AIと会話しながら英語を学習するアプリケーションです。
「聞く」「話す」「読む」「書く」という4つのスキルを習得して鍛えることができます。
④atama+(アタマプラス)
atama plus株式会社製です。
タブレット端末向けの「AIパーソナル教材」です。
中高生の生徒ごとの学習状況をAIが判別して、基礎学力をつけるアプリケーションです。
上記の「AIパーソナル教材」は開発パートナーから導入する・直接導入することが可能です。
まとめ
AIの導入で多くのメリットを得られます。
しかし、教職員(人間)の役割がなくなることはありません。
児童・生徒のやる気を引き出す・創造性を養うことは、AIの分野ではありません。
教職員は、児童・生徒と直接コミュニケーションを取り、一人ひとりの「個性」を理解して、個々に寄り添った教育を行うことが大切です。
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