
O-RANを導入支援する開発パートナー選びのポイント
「O-RAN」というIT用語を聞いたことがありますでしょうか?「O-RAN」は、第5世代移動通信(5G)時代の無線アクセスネットワーク(RAN)であるオープン化されたRAN(Open RAN)の一部です。
「O-RAN」自体が最新技術ではありません。
仮想クラウドベースのグローバル通信事業者5社集まり、2018年2月に立ち上げた事業者主導のアライアンス「O-RAN Alliance」のことを示します。
目次
1.O-RANとは何か?
「O-RAN」は、英語表記でOpen Radio Access Networkといい、「O-RAN」はその略称です。
日本語では、オープンな無線アクセスネットワークを意味します。
「O-RAN(オープン無線アクセスネットワーク)」は、「ホワイトボックスハードウェア」のオープンソースソフトウェア等のRAN 要素を相互に運用できる標準化した概念です。
「ホワイトボックスハードウェア」とは、内部構造・動作原理、仕様を公開している装置やソフトウエア・システムのことを示します。
対照的に「ブラックボックスハードウェア(内部構造・動作原理が不明なものや対象の内部構造が公開されていない装置・ソフトウエア・システムのことを示します。)があります。
「O-RAN」は、効率性・汎用性の共通特性を通じて、簡素化した第5世代移動通信(5G:以降は5Gと表記します。)無線アクセスネットワーク(RAN)の効率化を目標にしています。
ネットワークエッジ(ネットワークの終始端)に導入されたオープン RAN は、自動運転自動車・IoT機器・センサー機器等の5Gアプリケーションを効果化します。
安全で効率的にイントラネット環境を実現すると期待されています。
2.O-RAN のアーキテクチャー(構造)
「O-RAN」 アーキテクチャ(構造)は、オープンハードウェア(機能・仕様が公開されている機器のことです。)上で仮想化された無線アクセスネットワーク(RAN)と、無線制御向けの人工知能(AI)機能を備えた次世代RANインフラを目標に構想されました。
前章で紹介しましたが、「O-RAN」は5G時代のオープン化したRAN環境のことです。
モバイル事業者・移動通信事業者はRANネットワークをオープン化して、マルチベンダーソリューションを利活用することができます。
オープンRANは、5Gを活用した新しい仕組みや新しい要件に対応する5GのRAN環境を柔軟的に利活用できる手法を提供します。
また、5Gの「O-RAN」は、通信事業者として新規参入する障壁を取り除いたといわれています。
5Gの「O-RAN」は多くの作業がかかわりをもつとされています。
自動運転自動車がかかわる自動車業界、過疎地域への公共交通機関の導入にかかわる旅客運輸業界、同じく過疎地域へ無人またはリモートでの商品流通・配送するロジスティクス業界、医療体制が希薄になっている地域への医療支援をする医療業界などが、5G「O-RAN」を活用する・または、通信事業者に参入して間接コストを抑制するようになっていきます。
RANネットワークのオープン化でさらに多くの産業・業界が参入して活性化さていくと予想されています。
また、2030年ころには「6G」が導入されるようです。
3.O-RAN のメリット
「O-RAN」のメリットを紹介します。
第1に「O-RAN」の通信事業者のマルチベンダー化です。
固定回線・移動通信ともに全国各地に整備している基地局は、個々の通信事業者が独自に設置・敷設をしていました。
「O-RAN」は、オープンな無線アクセスネットワークです。
そのため全国各地に整備している基地局を利活用ができるようになります。
また、機材の調達・機器の構成度の自由度がアップして、柔軟な機能選択・追加をするようになります。
第2に「O-RAN」によって、全国展開している基地局を特定のベンダー企業・団体に縛られずに利活用することになります。
複数ベンダーで全国展開している基地局を使う場合、統一化した制御の促進ができることです。
また、従来の基地局は個々の通信事業者専用なので「ブラックボックスハードウェア」でした。
しかし、「ホワイトボックスハードウェア」に移行することで、全国展開している基地局の通信性能・品質を把握することできます。
「ホワイトボックスハードウェア」になれば、基地局をリモートで捜査するオペレーターのパフォーマンスを高める効果があります。
4.O-RAN の課題
「O-RAN」の課題を紹介します。
第1に個々の通信事業者が有する基地局の「ブラックボックスハードウェア」が、仕様・要件が明確に開示された「ホワイトボックスハードウェア」に移行することで、相互乗り入れや回線帯の統合が柔軟に解消されていきます。
また、2021年に5Gの導入が始まり、通信事業業界に新たな風潮が生じているようです。
「ブラックボックスハードウェア」は内部構造・動作原理を公開されていない装置でしたが、「ホワイトボックスハードウェア」は内部構造・動作原理を公開した装置です。
そのため、通信インフラの知識・知見があるモノにとって、怪しい動きをするのではないか?との新しいセキュリティー上の懸念があり得ます。
「O-RAN」規格のオープンソース化が進むことで、不特定の犯罪集団(者)・攻撃者の目が向けられるようになっているのです。
金融機関・証券会社・保険会社・公共交通機関の基幹システムに不正な攻撃やアクセスがあっても強固なセキュリティー対策で防御されています。
基地局の内部構造・動作原理が公開されたことで、不特定の犯罪集団にセキュリティー対策壁を突破されないと言い切れない課題があります。
第2に従来までは個々の通信事業者が保有するアーキテクチャーが組み合わせ、または統合しました。
これは、物理的な回線・配線を繋いだことではなく、論理的にマッピングしたアプリケーションによる定義です。
論理的マッピングは、組み合わせ・結合して良いことを認証する必要があります。
そのため、論理的マッピングを認証する管理者に、さらなる監視をすることが求められるようになります。
適切な監視が行われないと、互換性の問題を引き起こす可能性があります。
このことは、大手通販事業者で散見される通信障害となることを示します。
管理者の適切な管理が重要な課題になっています。
5.O-RAN の将来性
「O-RAN の将来性を紹介します。
第1に「O-RAN」仕様に準拠したハードウェアは、今まで競合企業であったベンダー間で接続できることになりました。
それぞれの競合企業の通信事業者は独自のサービスや回線形態を有しているので、お客先様のニーズに合わせた最適で柔軟な通信インフラを構築することが可能になります。
さらに、人工知能(AI)機能制御を取り入れることで、通信インフラを高度化できます。
第2に「O-RAN」の取り組みは、基地局設定の自動化を目的しています。
同じ地域に複数の通信事業者が基地局を有していましたが、トラフィック量を勘案しながら運用コストを削減させていきます。
その次のステップでは、基地局に設置しているネットワーク機器の統廃合・改新・省エネルギー対応型への最新化等の消費電力の削減を目標にします。
将来的に、制御周期を低速制御から高速制御へ段階的に移行していきます。
超高速・大容量・高信頼、同時多接続の最適化を実施していきます。
通信インフラ高度化を進めてサービス向上を目指します。
最終的には、利用料金値下げを目指しています。
6.O-RANを導入支援する開発パートナー選びのポイント
「O-RAN」導入は、企業・団体が導入している基幹システムとの連携は必要ありません。
しかし、企業・団体がインターネット環境・イントラネット環境・専用回路を利用している通信事業者が「O-RAN」に参画している、これから参画するケースであれば、仕様・料金体系に変更がある可能性があります。
「O-RAN」に参画する通信事業者と契約しているときは、基幹システム運用に影響がないと言い切れません。
上記のケースは、企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーに相談してみましょう。
基幹システムの通信インフラ環境が変更されるとレスポンスや処理スピードに何らかの影響がないと言い切れません。
企業・団体が導入している基幹システムの開発パートナーに相談してみることをお勧めします。
大手電機メーカー、ITベンダー企業、ITベンチャー企業は基幹システムをする部門以外に「5G・O-RAN・RAN」をサポートする担当エンジニアを用意しているはずです。
現行の基幹システムを導入した開発パートナーの営業担当やプロジェクト・マネージャーに相談してみましょう。
さらに全社のイントラネット環境を強靭にする検討をするのであれば、現行の基幹システムを導入した開発パートナーの営業担当やネットワークSEに相談してみましょう。
まとめ
「O-RAN」により、現在契約している通信事業者から、他の通信事業者への乗り替えをする機会ともいえます。
他の通信事業者は、従来の通信事業者が持ち合わせていない部材やソリューションをもっている可能性があります。
また、全国の拠点間の通信環境が最適化する可能性や、利用料金を少しでも削減できる可能性があります。
現行の基幹システムを導入した開発パートナーの担当と相談して、今度の方向性を見極めましょう。
システム開発のITパートナー探しをされるのであれば
システム開発のITパートナー探しをされるのであれば「システム開発コンシェルジュ」で是非ご相談いただければと思います。
以下のフォームより開発でご相談いただきたい内容などご相談ください。